6/11より始まった保護者面談が先週終了した。
(出席していただいた保護者の方々、ありがとうございました!)
保護者面談終了後は生徒面談。
毎年同じだが、まず保護者面談で保護者の意向を聞いて、生徒面談をやっている。
(こっちが勝手なことを生徒に伝えるのはまずいから)
この保護者面談期間に数年前の出来事を思い出した。
保護者の行かせたい高校と、生徒本人の行きたい高校が相反する家庭があった。
保護者の希望:A高校(公立)
生徒の希望:B高校保育科(私立)
明るく素直で癒し系の女子だった。彼女が中2のとき、職場体験で保育園を訪れた。その時以来、保育士になりたいという将来の夢が決まり、中2のときからB高校の保育科に行きたいと言っていた。
中3になり、保護者面談で彼女のお母さんと進路についての話をした。お母さんの希望は公立のA高校。「3兄弟の一番上なので公立に行ってほしい。下の2人のことも考えて、A高校に行けるならば、行ってほしい。」という希望だった。
成績はA高校に届かないわけではなかった。受験していれば合格していた可能性は十分にあった。
生徒面談時に、
「A高校に行っても、保育科のある大学や短大に行って保育士になることはできる。」と話しても
「いや、B高校に行きたいです。」
とても素直だった彼女が初めて反対した。
また、彼女はB高校の推薦入試を希望していたが、
「推薦入試で不合格だったらどうする?」という問いかけに、
「一般入試で再チャレンジします。」という返答。
彼女の意志は頑として変わらなかった。
次の日、仕事で忙しいお母さんだったので電話ではなく手紙を書いた。
その手紙の内容を簡単にまとめると、
私たち塾講師は、生徒の志望校を決定する権利は持っていません。生徒の就きたい職業になるにはどういった進路を選べばいいのか、この職業に就きたいのであれば大学進学より専門学校のほうがいいかもしれない、もしこの高校に合格したなら高校卒業後はこういう進路を選んだ方がいいのではないか、などのアドバイスはいたします。本人にも「A高校からでも保育士になることはできる」という話もしておりますが、彼女の意志は変わらずB高校の保育科です。中2生のときからまったく変わることはありませんでした。そこまで強い彼女の意志を一学習塾が折り曲げることはできません。生徒それぞれの進学希望・進学意志を尊重し、応援するしかないのです。生徒自身が入学したい高校とは反対に、親が薦める高校に合格してしまい、「その高校に行かないといけない」と合格したその日に泣く生徒だっているのです。
お母さんの意に反しているかもしれませんが、私たち塾講師ができるのは「応援」です。○○さんの意志をいっしょに応援しませんか。私共の力不足は否めませんが、どうかご理解ください。
最終的にお母さんが折れ、彼女はB高校の保育科に合格し、入学した。
それから3年後、彼女の弟が入塾しており、その弟の保護者面談時にお母さんと再会した。
「お姉ちゃんは元気にしてますか?」と聞くと、
「あのとき、先生の言うことを聞いててよかった。クラスメートみんなが生き生きとしている。目がキラキラしている。あの子にはB高校の保育科がとても向いていたんだと思う。B高校に行かせてよかった。」
と言われた。
あの時の手紙をまだ持っていたそうだ。
このとき、進路指導の醍醐味を経験した。
当然、苦い経験もした。
進路指導は簡単にはいかない。授業よりもはるかにエネルギーを使う。
しかし、今回の保護者面談も今までの経験が生かされていると自負している。