続・西岐波進学教室ブログ

西岐波中生徒限定の学習塾

中1ショック ~後編~

中1ショックの後編です。

 

 

中1ショックに陥った子どもには叱咤激励ではなく、大人自身がゆったりと構えた声掛けが重要だと前回のブログで書きました。

 

もうひとつ大切なことは大人の「聴く力」です。「中1ショック」以外にも、学校でいじめられている、先生に叱られたなど、子どもたちの心が病んでいる時があります。例えば、「学校に行くのが嫌だ」と言われたら、相談された側にすれば「何かアドバイスをしてあげたい」と思ってしまい、「何を言っているの、頑張りなさい」「そのうち良くなるよ」と指示、助言などをしたくなります。しかし、子どもにすれば「説教された、気持ちは分かってもらえない」となります。子どもの心が疲れているときは、相談に乗ってもらいたい、アドバイスがほしいとは思っていません。ただ聴いてもらいたい、分かってもらいたいのです

 

子どもが困ったとき、アドバイ・助言しようとする大人は多いと思います。聞いてもらいたいだけなのに何か助言を求めていると勘違いしてしまうのです。しかもその助言が相手をとがめ、糾弾し、逃げ道を潰していることにもなりかねません。

 

親:「返事ばかりよくてもダメだ。いつでもオマエは先延ばしにしてしまうだろ?」

子:「わかった。やればいいんでしょ。」

親:「ほら、いつもそうやって口ばっかりじゃないか。」

子:「私を信用できないの?」

親:「信用してほしければ態度で示しなさい。」

 

こんな具合に助言しようとしていたつもりが相手を言いくるめ、本質的なマイナス思考になってしまうのです。

 

 

「とがめない、追い込まない、嘆かない」

 

 

動きのテンポは子ども自身にある程度任せておいて、「だけど、こうだろ?」と異論をわからせようとするのではなく、「それなのに、こうなんだな。」と子ども自身が感じている異論を聴いてあげる。自分の気持ちがわかってもらえると子どもたちは少しでも前向きな気持ちになれます。

 

受容、共感するのが難しければ、自分の意見を言うのはグッと我慢して「そうだね」とうなずくだけでも効果があります。

 

「どうした?」「なぜ?」と無理に話させようとするのではなく、「聴く」に徹底です。子どもたちの辛さに寄り添うと自分から話し出すかもしれません。誰にも相談できずに一人で悩んでいる子どもには詰問せずに「聴く」に徹底してください。

 

 

メジャーリーグイチロー選手は高校に入ってすぐ、「実は野球をやめようと思っている。」とお父さんに言ったことがあるそうです。弱音を吐いた本人に「どうした?何があったんだ?」と言いたくなります。しかし、彼のお父さんは熱心に励ますタイプではなかったのでしょう、むしろ「野球ばかりやってきたからな。オマエがやめようと思っているのはよほどのことなんだろう。」と本人の気持ちを受容してそれ以上は言わなかったそうです。

 

 

「単に怠けている」と「中1ショック」の見極めは難しいかもしれませんが、心が疲れている子にはゆっくりさせて下さい。