「中1ショック」という言葉があります(高1ショックや大1ショックという言葉もあります)。中学校へ入学して今までの環境と大きく変わり、心がついていけないことを表します。社会人でいう五月病のようなものでしょうか。約1割の生徒が中1ショックを経験するそうです。
慣れない制服に身を包み、学校の先生も教科ごとに変わります。数週間後には部活動も始まり、慣れないことばかりでストレスが増幅します。ゴールデンウイークで多少回復しますが、5月中旬には初めての中間テストが待っています。この時期に中1生にとってはストレスがピークを迎えます。
中学校へ入学してからの大きな変更点といえば…
①クラスメート
今までの単なるクラス替えではなく、他の小学校からの入学生もいます。「みんなと仲良くなれるか」、「輪の中に入れるか」、「今まで仲良くしていた友達が他の生徒と仲良くなって自分が取り残されたような気になってしまう」など人間関係での不安を抱えます。
②部活動
多くの中学生が部活動に所属します。今日はちょうど部活動紹介があるようです。当塾の中1生は春期講習の時には入りたい部活を決めていましたが、「先輩にどうやって話しかければいいのか」など先輩との人間関係にも不安を抱えるでしょう。
③生活のリズム
4月末には本格的に部活動が始まります。朝練があったり、夕方遅くまで練習があったりで体が出来上がっていない中1生にとっては疲労困憊です。家に帰るとすぐに眠たくなってしまうという生徒もおり、生活のリズムが大きく崩れます。
④教科ごとの先生
中学生になると同一の先生が複数の教科を担当することはなく、教科ごとに先生が変わります。怖い先生、やさしい先生、おもしろい先生、様々な先生に慣れていかなければなりません。
⑤塾
中学生になってから塾に通い出すという生徒も多いでしょう。多くの塾が中学生の授業を夜に行います。朝早くから部活動の朝練のため学校へ行き、日中学校で授業を受け、夕方遅くまで部活動。そして、帰宅後ゆっくり休む余裕もなく、そそくさと塾に行く。週2日の通塾であっても塾からの宿題と学校からの宿題に追われ、その日の授業の復習をする時間を確保するのも難しくなってきます。
⑥定期考査
小学校のような単元テストではなく、出題範囲が決められその範囲の広さ、また、50分という制限時間で解かなければならない問題数の多さにも驚くでしょう。英語も加わり、暗記しなければならない量も相当です。
⑦授業の進み方
授業の進み方が速く、学習内容も難しくなってきます。特に数学では、「これは小学校の算数の授業で習ったよね。」とおさらいすることなく、次々と授業が展開されます。また、その場では理解していたつもりがテスト前に復習するとすっかり忘れていたということもあります。
そして、勉強のやり方がわからないという中1生は60%を超えるというデータもあります。また、「算数・数学が好き、もしくはまあ好き」と答えた55.0%の小6生が中1生になると28.5%と大きく減少します。「計算は自信がある」、「特に勉強しなくても100点は取れていた」という算数が数学になった途端、苦手科目になってしまうのです。
理由は内容自体が高度になっただけでなく、授業展開のスピードについていけない、わかったつもりで終わっていたなど様々でしょう。
まだまだ書ききれないほど大きく環境が変わる中1生です。
中1ショックに陥らないためには精神的な支えが必要です。塾では、友人や先輩との人間関係を把握することはできませんが、初めての中間テストで失敗しないように「テスト勉強の方法」、「定期考査に対する心構え」等をしっかりと指導していきたいと思います。